【マッチレビュー】ACL第1節 ヴィッセル神戸vsジョホール・ダルル・タグジム

【マッチレビュー】ACL第1節 ヴィッセル神戸vsジョホール・ダルル・タグジム

いよいよスタートする、ヴィッセル神戸のアジアへの挑戦。

2020年のACL第1節の相手は、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)です。

マレーシアリーグ6連覇中の相手を、ホームの御崎公園に迎えての試合となります。




両チームのスタメン┃4バックを採用したヴィッセル

ヴィッセル神戸vsジョホール・ダルル・タグジムのスタメン

ACLはJリーグの外国籍枠5人と違い、外国籍枠が3人+アジア枠1人というレギュレーションとなっています。

ヴィッセルはイニエスタ・ドウグラス・フェルマーレンの3人が登録メンバーとなり、サンペールとダンクレーはメンバー外となります。

そのため、どのようなスタメンで挑むのかが注目されましたが、フィンクは若手選手を起用する思い切った決断をしてきました。

まず、フォーメーションは4-3-3。

3バックが予想された中で、相手のスリートップ対策として4バックを採用します。アンカーには安井、IHには郷家という若手メンバーが抜擢され、この2人をイニエスタが引っ張ります。山口は前日に発熱があったことで、大事をとって欠場となりました。

スリートップはドウグラスを中央に、左に古橋、右に小川を起用。藤本の先発も予想されましたが、運動量とスピードに長けた小川がチョイスされました。

一方のジョホール・ダルル・タクジム(JDT)もフォーメーションは同じ4-3-3。

注目は最前線の得点源ジオゴ、突破力に長けた右WGのラシド。最終ラインには欧州経験もあるマウリシオが入ります。

【前半】

ヴィッセルにとって初となるアジアでの戦いだけに、前半はまず試合への入り方が注目されました。

後方から繋いでくるJDTと臨機応変に対応する神戸守備陣

まず積極的に動いてきたのが、JDT。

ヴィッセルと同じように後方からパスを繋いでくるスタイルで、両WGがサイドに大きく開くことで幅を取る戦術を採用してきました。

ボールをサイドに展開すると、ラシドとカブレラのWGに預け、単独突破で局面を打開してきます。

ヴィッセルは両SBの酒井と西が対応しますが、予想以上に鋭い攻撃と不慣れな4バックということもあってか、ややバタバタとした守りが見られました。

ヴィッセルは安井が最終ラインに下がりビルドアップに参加する形を見せていましたが、両WGが幅を取るため、ボールロスト後は高い位置を取るSBとサイドに開いたCBのどちらがマークに付くのかやや曖昧になっていました。

こうした状況の中で、選手達は臨機応変にポジションを変えながら徐々に対応していきます。

1つは、酒井が内側に絞って3バックを形成するパターン。これは中央のCBが極端な移動をする必要がないため、スムーズな守備陣形を構築することができます。

もう1つは、郷家や安井がLCBに入るパターン。この日は、両SBがいつも以上に高い位置に攻め上がることもあり、酒井や西がポジションに不在となるシーンも少なくありませんでした。

こうした状況では郷家や安井が気を利かせて素早くカバーリングに入り、守備の穴をしっかり埋める動きが見られました。

試合を通じてこの若手コンビは献身的な動きを多く見せており、立ち上がりのバタつく時間帯を凌ぐ上でも重要な役割を果たしてくれました。

イニエスタのパスから小川が先制ゴールを奪う

立ち上がりの10分程度はややバタついたものの、試合が進むに連れて守りのリズムが整いパス回しがスムーズになります。

ACLでの小川のゴール

前半13分、ハーフライン左でボールを受けたイニエスタが前線に視線をやると、すかさず小川が左サイドに斜めに動くように走り出します。

イニエスタはこれを見逃さず右足で浮き球のパスを出すと、小川はボックス内に走り込みながらこのボールをダイレクトに合わせてシュート。

ややループ気味でGKの頭上を狙い、見事先制ゴールを奪いました。

フリーでボールを受けられるようダイアゴナルに飛び出した小川の判断と、イニエスタの上質なパスがかみ合った得点。

ヴィッセルにとっては記念すべきACL初得点で、クラブの象徴とも呼べる両選手の連携から生まれたことも感慨深いものがありました。

同点PKの直後に勝ち越し点を奪えた意味

先制して試合を有利に運べるかと思いきや、前半27分にPKから同点に追い付かれてしまいます。

ボックス内で守備に対応していたのは、百戦錬磨のフェルマーレン。

相手CFのジオゴが中央に折り返そうとしたボールに、手が当たってしまいハンドの判定となりました。

常に冷静に対応する姿が印象的なフェルマーレンですが、彼でもこうした思いがけないアクシデントが発生することに、アジアの怖さを見た気がします。

日本代表のアジア予選などでもそうですが、こうしたゲームでは先制→セットプレーで同点という流れから、ゲームが難しくなることも少なくありません。

個人的には「このタイミング嫌な取られ方としたなー…」という印象でした。

ACLでの古橋のゴール

ただ、この嫌なイメージを一瞬にして振り払ってくれたのが、古橋のスーパーゴールです。

前半28分、右SBの西がピッチ中央気味に持ち上がると、逆サイドに位置していた古橋にグラウンダーの横パスを出します。

長めの距離のパスでしたが、正確に古橋に繋がると、これをダイレクトでシュート。ボールはGKの上を超え、ネットに突き刺さるような素晴らしいゴールで勝ち越し点を奪いました。

この場面、小川が右サイドに、ドウグラスが中央にマーカーを引きつけたことで、古橋がフリーになっています。

ここにボールを通す西の視野とアイデアはもちろんですが、あのタイミングで右足を振り抜く古橋のプレーには、確固たる自信を感じました。

それにしても最近の古橋のプレーは、本当にビジャの姿を彷彿とさせます。

ボールの受け方やシュートの蹴り方、タイミング、そして思い切りのよさ…ワールドクラスのストライカーへの道を一歩ずつ登っていることは間違いないでしょう。

【後半】

2-1で前半を折り返したヴィッセルですが、JDTも随所に好プレーを見せており油断はできません。

早い段階で追加点を決めて、安心してゲームを進めたいところです。

テンポの良いパス回しが機能

後半の立ち上がり、JDTは得点を奪うためプレッシングから積極的な攻撃に打って出ます。

しかしヴィッセルは落ち着いてこの攻撃を受け流しつつ、自分達もハイプレスを機能させることでボール奪取やJDTのパスミスを誘うなどマイボールにする時間帯が増えていきました

ボールを握ると、テンポの良いパス回しでJDTを翻弄。

とくに左サイドの攻撃はよく機能しており、追加点もこのサイドから生まれました。

ACLでの小川のゴール2点目

58分、左サイドのタッチライン近くで郷家からイニエスタにボールが繋がると、イニエスタが対面する2人の間にパスを通します。

このパスを受けた酒井がボックス内まで持ち込み、最後は中央の小川にマイナスのパス。小川は左足でボールを合わせてこの日2点目を奪いました。

ヴィッセルらしい美しいパスの連携から生まれたゴール。時間帯も申し分なく、この試合の流れを決定づけるゴールとなりました。

止まらないゴールラッシュ

JDTは右SBの選手を交代しヴィッセルの左サイド対策に動きますが、それならばと今度は右サイドから得点が生まれます。

ACLでのドウグラスのゴール

65分。自陣深くでフェルマーレンからボールを受けた西は、前線にスペースがあると見るや長いボールを蹴りこみます。

反応したのはドウグラス。

右サイド寄りにポジションを移していたドウグラスは、スピードを生かしてボールをキープすると、今度はフィジカルの強さを生かしてマーカーを振り切りドリブルでゴールへと攻め込みます。

最後はGKとの一対一を冷静に見極め、左足で巻き込むようにしてシュート。ゼロックス杯に続き2試合連続ゴールを決めました。

小川のハットトリック

さらに72分には、小川のハットトリックとなるゴールで5点目を奪いました。

起点はイニエスタ。

中央から右サイドのドウグラスにスルーパスを出すと、ドウグラスがそのままボックス内まで持ち込みます。

そこにパスの出し手だったイニエスタが走り込みスイッチするようにボールを受けると、ボックス右奥まで持ち込みふわりとした浮き球のクロスを上げます。

ボールはラインを割らないよう絶妙にコントロールされており、GKの上を超えると最後は小川がヘディングでゴール。

イニエスタの芸術的なクロスは、視野・コントロール・力加減・回転などどれをとっても一級品

こういった重要なゲームで魅せる彼のプレークオリティは、何度体験しても感動を覚えます。

ACL初戦で見えた収穫と課題

結局試合はこのまま5-1でヴィッセルが快勝。

大事なACLの初戦で勝ち点3を積み上げられた意味は非常に大きかったように思います。

とくにこの試合でも何度か見られましたが、アジアの舞台では首をひねりたくなるようなレフェリングも散見されます。

勝てる試合をしっかり勝ち、獲れる得点を決めておくことは、後々大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。

この試合の収穫としては、まず安井と郷家の活躍でしょう。

若手コンビは小さなミスこそ見られましたが、互いに気の利いたポジショニングで存在感を発揮し、戦力としての価値をみせてくれました。

この試合発熱の影響もあって欠場した山口がいなかったとはいえ、難しいアジアの舞台でのプレー経験は、今後の戦いを見据えた上でも大きな収穫です。

カウンターへの対応は課題

一方で、ハイプレスをかわされた後のカウンターには、やや不安を残しました。

これはまだプレスの連携が不十分なこともありますが、4バックを採用したことでカバーリングの重要度が高かったことも理由にあげられます。

相手の両WGをけん制するため、両SBが高いポジショニングを取ったことも影響していたでしょう。

この試合はJDTのクオリティに助けられていた部分もありましたが、やはり山口の存在が今後の戦いでは鍵を握ってきそうです。

もう1つは、アジアのレフェリングに引っ張られないようにすること。

この試合だけでなく、同時刻に開催されていた横浜Fマリノスの試合でも、Jリーグに比べラフなプレーは多い印象です。そのペースに引っ張られ同じ土俵にあがってしまっては、自分達でゲームを難しくしてしまいます。

この辺りは、経験豊富なベテラン組がうまく若手をコントロールしつつ、狡猾に立ち振る舞ってプレーしてもらいたいところです。

クラブ初のアジアでの勝利を喜ぼう

さてさて、来週には早くもアウェイでの水原戦が待ち構えていますが、まずはアジアの舞台でクラブとして初めて勝利した喜びをかみしめたいと思います。

サポーターにとっても未知の舞台ですが、選手達は臆することなく戦ってくれました。

ここからはアウェイ3連戦だけに、しっかりコンディションを整えて良い準備をしてもらいたいですね!

(ちなみに…)

今回からTACTICAListaを使わせていただいています!@jun_kanomataさんの作成されたツールです。

とっても使いやすい!!(^^)

早く慣れて、もっと見やすいイラストを作成したいと思います!