5月8日、ヴィッセル神戸はオフィシャルリリースにて、吉田監督の退任とトルステン・フィンク新監督の就任を発表しました。
フィンケ監督はドイツ人。気になるのは、どんな戦術を志向するのか?情報が限られる中ですが、新監督の戦術を考察してみました!
新指揮官はドイツ人のフィンケ監督
新体制の監督には、フィンク監督が就任します。ようこそ神戸へ!
— ヴィッセル神戸 (@visselkobe) 2019年6月8日
Welcome to Kobe, Thorsten Fink!
Willkommen in Kobe, Thorsten Fink!
詳しくはこちら:https://t.co/ZhTWfbNRDV#visselkobe #ヴィッセル神戸 pic.twitter.com/pKaC5WbE8D
今回ヴィッセル神戸の新監督に就任したトルステン・フィンク氏はドイツ人。51歳と、監督としては脂が乗りきっている年代です。
現役時代はバイエルンでプレー。バーゼルやHSVを指揮
フィンク氏は現役時代をブンデスリーガ一筋で過ごしています。
#フィンク 氏pic.twitter.com/BVvn3dNRIO
— うーみん (@pancavidya) 2019年6月7日
キャリアの中でのスポットライトが バイエルン・ミュンヘン時代。7シーズンで150試合に出場し、主力メンバーとして活躍。現在もクラブのレジェンドとして多くのサポーターに記憶されています。ブンデスリーガ通算(1部、2部トータル)でも490試合に出場するなど、確かな実績を残しています。
指導者に転身後も着実にキャリアを積み重ねており、2009年から率いたFCバーゼル(スイス)ではチャンピオンリーグに出場し、大きなインパクトを残しました。2011年からは日本人にも馴染み深いハンブルガーSVを率い、クラブを降格の危機から救うなど手腕を発揮します。
近年はやや低調な成績
一方で、近年の成績は芳しくありません。直近ではスイスのグラスホッパーを率いましたが、クラブは降格の憂き目に。
数年単位でも目立った戦績は残していないことから、不調が続くヴィッセルの指揮官として結果を残せるのか、不安視する声も聞かれています。
フィンク氏の戦術は?
さて、気になるのがフィンク新監督の志向する戦術です。残念ながらここ数シーズンは主要リーグでの采配がなく、情報も限られています。
ただ、SNSやニュースソースからはいくつかヒントとなる情報が見つかりました。
サイド攻撃が1つの特徴だがカウンター主体ではない
フィンク監督といえば個人的にはバーゼルでローマを破った時が一番印象的でしたね。シンプルに素早い展開とサイドアタックをうまく活用していました。 https://t.co/CwnX3KUbIu
— 河治良幸 (@y_kawaji) 2019年6月8日
まずはスポーツライターの河治さんの投稿を見ると、バーゼル時代の印象が語られています。ここで触れられているローマ戦とは、バーゼルの指揮官としてチャンピオンズリーグで旋風を巻き起こした11-12シーズンのこと。
サイドからの素早い展開とあり、カウンターサッカーを想起させますが、スポーツ実況でお馴染みの下田さんは次のように語っています。
改めて資料を見直したのでフィンク監督追記①
— 下田恒幸 (@tsuneyukishimo) 2019年6月8日
・躍進したシーズンのキモは中盤ひし形の4312
・トップ下ファンデルファールトのファンタジー
・ソンフンミン&ルドニェフスの2トップのタテへの鋭さ
→このコンビは凄かった。ソンがブレイクしたシーズン
・ひし形の脇の選手のハードワーク
ソリッドで速いと書きましたがフィンク時代のハンブルクがカウンター一辺倒だったという事ではないです。河治くんも書いてたけどサイドアタックに特徴があったのは私も記憶してます。サイドから速く、鋭くみたいな。あくまで印象ですけど(笑)。追って古い資料を確認してみよう。
— 下田恒幸 (@tsuneyukishimo) 2019年6月8日
2件目の投稿はとても示唆に富んでいるのですが、どうやらフィンク監督のサッカーではサイドを使ったスピーディーな攻撃が1つの特徴としてあるようです。しかし、必ずしもカウンターとしてのサイド攻撃ではなく、戦術の1つの形として取り入れている様子。
実際、1件目の投稿にあるひし形の4-3-1-2はカウンターよりもポゼッションに優位な並びです。その上、ファン・デル・ファールトという稀代のファンタジスタが居たことを考えると、攻撃的な陣形がイメージできるでしょう。
しっかりと「繋ぐ」監督という声も多数
フィンクさんの3年目Austria Wienを少し見てるんだけど、以外としっかり後ろからサッカーやってんのよ。SB裏とかにスペースできたら雑に蹴り入れて縦に早いなって感じる場面もあるけど、しっかり繋いでってのも見て取れる。 pic.twitter.com/tO1aEiwcI3
— まぼろしパンダ (@Aphantom_panda) 2019年6月10日
SNSではフィンク監督の戦術について考察をしている投稿が多数ありますが、その中にはしっかりとパスを「繋ぐ」監督という声も多く見られました。
フィンケ監督HSV時代のレビューが戦術理解に最適
中でも気になった投稿がこちら↓
7年前の試合のレビュー
— junko@鰤姉 (@vk_jun) 2019年6月7日
フィンク氏なかなか面白そうな監督さんなのでは❓
友達が教えてくれたので貼っとく
ドルトムント対ハンブルガーSVのレビュー – pal-9999のサッカーレポート https://t.co/VD4diqyYAj
当時、ドルトムントに在籍していた香川が出場した試合を詳細にレビューしたものですが、対戦相手は当時フィンク氏が率いていたハンブルガーSV。記事を読ませていただいたのですが、気になるポイントがあったのでいくつか引用させていただきます(引用元はこちらです→ http://pal-9999.hatenablog.com/entry/20120127/p1 )。
ビルドアップの時は、ボランチのリンコンが最終ラインに下がってCBがサイドに開き、3バックを形成します。それに伴って、SBは高い位置を取ります 。そして、両SHは中央に絞ってきます。両SBが高い位置を取るため、SHは、かなり自由に動けます。なんで、中央には4人がいました。
ポゼッション時には、3バックを形成して、相手の2トップのプレスを回避します。このケースでは、香川とレバンドフスキーのプレスを3バックで回避します。もっとも、3バックにならず、GKを使うこともありました。
HSVのフィンクもクレージー。ドルトムントみたいに強力なハイラインプレスかけてくるチーム相手にポゼッションで対抗しようとか、冗談もほどほどに。ボランチの所でボール奪われたら、即、数的同数でのカウンター食らいます。さらに、SBの裏はガラ空きだから、これほどショートカウンターやりやすいチームはありません。
HSVに関しては、結構見込みがあるチームです。監督さん、面白い事やってます。なんで、これから、定期的にチェックしてみようかと思ったチームです。ドルトムントの欠点は見抜いてるんです。ただ、チームに彼のプランを実行するだけの力がまだなかったし、引いて守るにも、守備の約束事がチームで徹底できてない。攻守の切り替えは遅いし、2列目、3列目の飛び出しにだれがついていくかも曖昧っていうね。
今回は、ドルトムントにボロ負けしてましたが、あと1年も、じっくりチームを率いれば、かなりのチームに仕上げれるんではないかと。
この記事は2012年の1月のものなのですが、驚きました。まるでリージョ時代のヴィッセルではありませんか…ポゼッションへのこだわりと、ショートカウンターへの脆弱性。一気に親近感が沸きました(笑)
(仮の…)結論:サイドに特徴を持った攻撃的サッカー
さて、ここまでいくつかの情報をソースを取り挙げてフィンク監督の戦術を考察してきましたが、結論をまとめてみましょう(あくまでも仮定ですが…)。
- サイドに特徴を置いた攻め
- ポゼッションを意識した「繋ぐ」サッカー
- タレントの「個」が必要不可欠
まとめてみると、フィンク氏はサイドからの攻撃を1つの特徴としているようです。シンプルな攻撃も使い分けますが、HSV時代には高い理想を持ったポゼッション型のスタイルを志向しており、いわゆる「バルサ」の匂いも感じさせます。
ただ、理想を体現するためにタレントの「個」の力を必要とする点も、特筆しておくポイントでしょう。
以上が今回集めたフィンク氏の戦術情報ですが、やはり実際の采配を見てみないことには分からない点も多いでしょう。HSV時代から10年近く経っていますし、彼の中で戦術志向に変化があることも十分考えられます。
ただ個人的には今回の記事のために情報集める中で、期待値が高まってきました。少なくとも、カウンター一辺倒や、一昔前のドイツに見られたフィジカルサッカーとも違うようです。
混乱が続くチームの希望となってくれることを期待しましょう!!!