日本代表のCBでもある昌子源が、フランス・トゥールーズからガンバ大阪に完全移籍で加入することが発表されました。
日本人屈指のCBの電撃加入とあってガンバサポならずとも大きなサプライズとなりましたが、一方で聞かれるのが「どうしてヴィッセルは獲得しなかったのか?」という声。
今回はこの疑問について解説したいと思います。
日本人屈指のCB、昌子源がガンバに加入
昌子 源選手 ガンバ大阪へ完全移籍のお知らせ #ガンバ大阪 #GAMBAOSAKA https://t.co/tDKK17vP48
— ガンバ大阪オフィシャル (@GAMBA_OFFICIAL) February 3, 2020
2月3日、ガンバ大阪はフランス・リーグアンのトゥールーズ から、昌子源を完全移籍で獲得したと発表しました。
昌子といえば、日本代表にも名を連ねる現代型のCB。
読みとポジショニングの良さを生かした守りと、足下の技術の高さは古巣鹿島アントラーズ時代から突出しており、個人的には冨安や吉田と並んで、日本人のCBのトップカテゴリーに位置していると考えています。
2018-19シーズンからはフランスでのプレーを選択しましたが、19-20シーズンは負傷の影響もあり出場機会が激減。そうした状況にあって「国内復帰もある」という噂が、年明けから複数のサッカーメディアで取り上げられていました。
なぜヴィッセルは獲得を見送ったのか?
さて、この移籍に関して一部のヴィッセルサポからは「どうしてヴィッセルは獲得しなかったのか?」という声があがっています。
事実、ヴィッセルにも昌子からアプローチがあったことは公になっており、獲得のチャンスはあったと想像できます。
昨季守備面で課題を抱えていたヴィッセルだけに、日本人屈指のCBを獲って欲しいというサポの声も理解できますが、今回ヴィッセルが昌子獲得を見送ったのにはいくつか理由がありました。
1.昌子側からのアプローチが1月下旬だった
1つ目は、昌子側からのアプローチが1月下旬だったということ。
今回の移籍に際して、ガンバ大阪以外にも古巣の鹿島アントラーズとヴィッセル神戸に昌子側から「逆オファー」があったことが伝えられています。
しかし、オファーがあったのは1月下旬。
すでにチーム編成の骨格も固まっており、ACLを戦うことになるヴィッセル(アントラーズも同じ)としては遅いタイミングでした。
2.右利きのCBはすでに獲得していた
2つ目は、昌子と同じ右利きのCBはすでに獲得していたということ。
この冬、ヴィッセルはレノファ山口から菊池、筑波大から山川という右利きのCBを2人獲得しています。
昌子を獲得したとしても、右利きCBという枠はすでに十分足りており、新加入2人を獲得した編成が意味をなくすことになります。
また、今オフは人員の整理と若返りを進めるというフロントの意図も見えることから、「戦力になるからとりあえず獲得する」、という流れには至らなかったのではないでしょうか。
3.昨季終盤からの戦術の積み上げを優先した
3つ目は、昨季終盤戦からの戦術の積み上げを優先したということ。
沖縄キャンプ等の情報を見ても、今季のヴィッセルも基本は3バックとなりそうです。
その土台は昨季の天皇杯やリーグ終盤戦で固まってきており、今季もこの土台をベースに積み上げを行うことを優先したと考えられます。
とくに最終ラインからビルドアップするヴィッセルの戦術はチーム内の連携が重要で、3バック・4バック・5バックをシチュエーションごとに使い分けることも少なくありません。
そうした戦術に、キャンプ以降のタイミングで昌子を獲得しても成熟が遅れてしまいます。
既存メンバーとしても編成部からの信頼という部分に「?」を抱いても不思議ではありません。
4.移籍金と年俸が高額だった
4つ目は、移籍金と年俸が高額だったということ。
昌子はトゥールーズとの間に契約を残しており、完全移籍での獲得となると少なくない移籍金が発生します(報道では推定2億)。
また、代表クラスの選手対してはある程度の年俸も提示しなければならず、今冬の予算との折り合いがつかないことは容易に想像できます。
ヴィッセルとしては夏のウインドーで欧州選手を獲得する可能性もあるため、現状ではできる限り支出を抑えておきたいところ。こうした状況も獲得見送りに繋がったのでしょう。
まとめ
今回は昌子源のガンバ加入に関して、「なぜヴィッセルは獲得しなかったのか?」という疑問について解説しました。
たしかに、昌子源を獲得できれば、大きな戦力となることは事実です。
しかし、闇雲な選手獲得でバランスを崩してしまっては、昨季リーグ前半戦の失敗を繰り返すことになります。
サッカーにおける移籍は複数の要素が関係し、両者のタイミングがあわなければ成立しません。今回のケースはその分かりやすい事例と言えるのではないでしょうか。
