J1第23節 ヴィッセル神戸vs浦和レッズ

J1第23節 ヴィッセル神戸vs浦和レッズ

内容が伴いながら、勝ち点3が奪えないヴィッセル。

しかしリーグ戦の合間に開催された天皇杯では大宮アルディージャに快勝するなど、チームのムードは悪くありません。

この日の相手は浦和レッズ。難敵をホームに迎えましたが、ヴィッセルは見事な試合を披露してくれました。

両チームのスタメン

ヴィッセル レッズ スタメン

ヴィッセルは、ハンブルガーSVから加入したばかりの酒井高徳がいきなりのスタメン起用

ツートップの一角には天皇杯で2ゴールを決めた田中順也が名を連ね、好調な選手が起用されるフェアな競争原理が伺えます。

浦和レッズはワントップに杉本が入り、右SHにはこちらもドイツから加入後好調を維持する関根が先発。

両チームとも3センターバックを採用し、ややミラーゲームの展開も予想されるスタメンです。

【前半】シーズン最高のゲーム展開を披露する

この日のヴィッセルは、今シーズンでも最高の試合展開を披露してくれました。

とくにスタミナが豊富な前半は攻守にハイレベルなプレーを続け、レッズにつけ入る隙を与えませんでした。

最終ラインから丁寧にビルドアップして攻撃を構築

ヴィッセルは立ち上がりから、最終ラインの3人から丁寧に組み立てるビルドアップを披露。

アンカーに入ったサンペールは気の利いたポジショニングでボールの出しどころを作り、そこから縦横無尽にパスを供給。

前線はイニエスタや田中、古橋が持ち味を活かしてプレー見せ、攻撃を活性化します。

サンペールが中盤の底で覚醒

とくに際立っていたのはサンペールです。

中盤の底から組み立ての全権を握りチームのリズムを構築

鋭い縦パスでスイッチを入れるかと思うと、状況を見てボールをキープし時間を作るなど「ブスケツの後継者」としての才能を遺憾なく発揮していました。

ここ数試合のサンペールのプレーぶりは覚醒しているという表現がぴったりで、イニエスタに依存していたヴィッセルの攻撃に大きな上積みを加えてくれています。

酒井高徳の加入で守備陣はさらに強固に

注目の酒井高徳も、タフなコンディションの中でさすがのプレーを見せてくれました。

対面する関根との「ドイツ対決」は見応えがあり、互いに激しいフィジカルのぶつけあいから欧州レベルの局地戦を繰り広げていました。

序盤こそ関根のクイックネスが勝りますが、その後は酒井がほぼ完封するなど、弱点と言われた左サイドにこれ以上ない解答を提示。

フィンクがチーム合流後に即起用に踏み切ったのもうなずけるパフォーマンスです。

前節からフェルマーレンが加わり強度を増した3バックはこの日も抜群の安定感を発揮。とくに大崎は3センターバックの中央という「居場所」を見つけ、ノビノビとプレーしていました。

飯倉もリベロGKとして連携面での不安も感じさせず、シュートストップでも存在感を見せつけてくれました。

Gkからパスを繋いだ理想的な形で先制

先制点は前半の終了が近付く時間帯でした。

ここまで巧みなショートパスの崩しやセットプレーからチャンスを作り出していたヴィッセルでしたが、なかなかネットを揺らすまでには至らず

しかし前半ロスタイム。

GKの飯倉から田中にボールが入ると、これをワンタッチで受けた古橋がディフェンダーを背負いながらボールをキープ。

しぶとく繋ぐと、イニエスタから前方に走り出していた田中にスルーパスが通ります。田中は冷静に相手と駆け引きをしながら攻め上がりを待つと、強烈なミドルシュート。

一度は西川にセーブされますが、弾いたボールに古橋が詰めてゴールネットを揺らしました

最後尾のGKから、パスを繋ぎ複数人が連動する理想的なゴール。プレーに関わった選手がそれぞれのタスクを担うことで、レッズの守備を見事に崩してみせました。



【後半】ポジティブな要素が盛りだくさんのゲームに

前半ロスタイムの得点は、暑さも厳しい条件を考えると、大きなアドバンテージとなりました。

後半はレッズがリスクを冒して攻めに転じますが、集中して守りながら追加点を決め、ゲームを締め括りました。

90分を通してポジティブな収穫の多いゲームとなりました。

両サイドが攻め上がったスペースを突く

レッズは後半から攻めの人数を増やしてきます。

CBの槙野、もしくは岩波が攻め上がりサイドの攻略に動くと、ボランチもゴール前に飛び出すなど数的優位で得点を奪いに出ます

ヴィッセルはやや受け身に回りますが、相手の両サイドが攻め上がることで生まれたスペースを巧みに突きます

59分。左サイドの酒井からボール受けたサンペールが、逆サイド深い位置の西に長いレンジのパスを送ります。

西がこれを頭で落とすと、田中順也がボックス内に飛び出していた山口蛍にパス。

山口は冷静にトラップからシュートフェイントでマークを外すと、右足でシュートヴィッセル移籍後のリーグ戦初ゴールで追加点を奪いました。

バルサイズムの浸透を感じさせる山口のダンス

相手のスペースを突いた攻撃の組み立てはもちろん、山口がダンスを踊るように相手をかわすシーンはバルサイズムを感じさせるものでした。

シーズン後半に入るにつれ、イニエスタやサンペールの「マークを外す動き」が日本人選手にも多く見られるようになってきました。

やはり普段から同じピッチでプレーする選手の動きは、自然と真似したくなるもの。

古橋や小川のシュートのタイミングはビジャのそれを彷彿とさせ、チーム内で高いレベルでの好影響が広がっていると言えます。

ともすれば、タレントばかりを獲得して育成をないがしろにしているという批判も受けるヴィッセルですが、こうした光景を見ると「最高の育成環境」が整っているとも呼べそうです。

サイドを攻略した西と山口の動き

さて、得点シーンをさらにフォーカスすると、西と山口のポジションチェンジが効果を発揮していることが分かります。

この試合の前半から、流れの中で西が中央にポジションを取り、山口がサイドに開く動きは多く見られました

ヴィッセル サイド攻撃

3バックを敷いたことで、西は後方スペースの守備負担が軽減します。このメリットを生かして、4バックで見られる「偽SB」のようにプレーすることで、攻撃に流動性を生み出していまいした。

また、山口がセンターハーフとしてプレーしていたことも大きな意味を持ちます

サンペールと同じラインでプレーするとサイドへの飛び出しは限定されますが、やや前よりに位置することで攻撃参加への自由度が高まります

これはチームとしてプランの中に入っているように感じ、フィンクが提示した新たな攻撃のオプションと呼べそうです。

3点目を追加しクリーンシートで締めくくる満点の出来

追加点を奪われたことで、意気消沈した浦和レッズ。

ヴィッセルは交代枠を使いながら冷静に試合を進めると、86分にはイニエスタのPKでダメ押しの3点目

守備陣も最後まで集中力を切らさず、リーグ戦では7試合続いていた失点をゼロに収め、クリーンシートでゲームを締め括りました

攻撃の連動性はもちろん、守備面でも大きな乱れはなく、高いレベルのパフォーマンスを90分披露。まさに満点の出来だったと言えます。

リーグ戦では6月30日の名古屋戦以来、5試合ぶりの勝ち点3。リーグ終盤に向けて自信を深める試合となりました。

3-5-2という最適解が見つかったヴィッセル

ヴィッセルは前節トリニータ戦、天皇杯のアルディージャ戦、そしてこの日のレッズ戦と、3-5-2の布陣を採用しています。

この並びは攻守のバランスもよく、現在のタレントの中での最適解と呼べるのではないでしょうか。

とくに守備面の安定は目を引きます

フェルマーレン(天皇杯はオマリ)と飯倉の加入は大きいですが、サンペールをアンカーに固定し山口がセンターハーフとしてプレーすることで、繋ぎどころがはっきりした点も安定感に繋がっているでしょう。

もちろん相手のシステムや戦術に合わせて、フィンクは柔軟な采配を振るう監督です。4バックでの戦いも予想されますが、現状ではもっとも効果的なシステムと言えそうです。

酒井やフェルマーレンのキャプテンシーが光る

試合中はもちろん、試合後のコメントで聞かれたのが酒井とフェルマーレンのキャプテンシーです。

フェルマーレンに関してフィンクは、次のように語っています。

トーマス・フェルマーレン選手が入ってきて、彼は本当にリーダーシップが高く、集中力も高いのでバックラインをまとめてくれています。

ゲキサカ(https://web.gekisaka.jp/news/detail/?282450-282450-fl)

前節の大分トリニータ戦では、後半に左サイドの初瀬に対して、フェルマーレンがかなり強めにポジショニングについて指示を出していました。

こうしたパーソナリティはこれまでポドルスキ以外に見当たらず、彼の離脱後はリーダーシップを取る選手が見当たりませんでした。

また、酒井高徳に関してもハンブルガーSVでキャプテンを務めていただけあって、ポジティブなメンタリティで早くも評価を高めています

この日の試合後には、

トーマスが後ろにいるけど別にそんな難しいことを話さなくてもラインコントロールだったり、コミュニケーションが取れるので、しっかり話しましたし、近くの選手にもそうでした。夏場のきつい時こそ、ひと言ふた言、注意力をあげるためにも非常に大事になってくるので、そこは自分の中でも意識しました。

ヴィッセル公式HP(https://www.vissel-kobe.co.jp/match/game/?gid=20190100010620190817&type=detail)

と語るように、チーム内での「声」の重要性に触れています

やはり欧州や代表で数々の経験を積んできた選手だけに、チームに何が不足して何が必要か、すぐさまピッチの中で感じ取ったようです。

こうした姿勢が若い選手達にも波及し、活発な意見交換が日常として繰り広げられるようになると良いですね!

おかえり!ポルディ!!!

さて、試合前には嬉しい光景が見られてました。

我らのキャプテン、ポルディがドイツから再来日しました!

ピッチに姿を見せたポルディには、サポーターから大音量のコールが届けられ、体調不良からの復帰を祝福しまし

このシーンは自分もぐっと来るものがあり、思わず涙腺が…。これからコンディションを上げて、終盤戦は彼の熱いプレーを見せてほしいですね!!!