【マッチレビュー】J1第6節 松本山雅vsヴィッセル神戸

【マッチレビュー】J1第6節 松本山雅vsヴィッセル神戸

みなさんこんにちは、フットボールベアーです!

今回のマッチレビューは、J1第6節松本山雅FCvsヴィッセル神戸の試合をお届けします。

この日の松本山雅のホーム「サンプロアルウィン」は18,000人を超える超満員。普段から多くのサポーターが詰めかけるアルウィンですが、やはりヴィッセル神戸との一戦は注目度が高いことが伺えますね。

両チームのスタメン

松本山雅とヴィッセル神戸のスタメン
松本山雅vsヴィッセル神戸 スタメン

松本山雅はお馴染みの3-2-4-1のフォーメーション。前節からの変更点は、CBがエドゥアルドに代わって飯田、シャドーにはセルジ―ニョに代わって中美が先発しています。

一方のヴィッセル神戸は4--3ー3でのスタート。前節大活躍のポドルスキがベンチ外。代わりに三田が右ウイングで起用されました。負傷の影響で出場が危ぶまれたビジャですが、この日もスタメンに名を連ねています。その他ではウェリントンが、リーグ戦で初めてベンチ入りしています。

【前半】ボールを握るヴィッセルとカウンターを狙う松本

戦前の予想通り、試合はヴィッセル神戸がボールを握り松本山雅がカウンターを狙う展開となります。

ダブルボランチ気味でスタートしたヴィッセル神戸

ヴィッセルのポジションで気になったのは、山口の位置。サンペールと並ぶような形で、ダブルボランチ気味にポジショニングしていました。前節のガンバ大阪戦でも後半から試していた形ですが、守備のバランスを保つための現実的な選択と言えるでしょう。

高度な守備ブロックを敷いた松本山雅

一方の松本山雅は、ネガティブトランジッションの場面で、プレスとリトリートを柔軟に使い分けていました。敵陣の深い位置では前田を中心に積極的にプレスを仕掛け、自陣にボールが入れば素早くブロックを敷いて守りを固めます。

中央に蓋をされたことで、神戸はサイドに展開して局面を打開しにかかりますが、ここでも高橋と田中の両ウイングバックが引いて守ることで、ヴィッセル神戸に攻め手を与えません。

ひとたびボールを奪えば、ぺレイラ、前田、中美らが一気に前線に飛び出しカウンターを狙います。カウンターが狙えない場面では、シンプルに高さのあるぺレイラにロングボールを放り込み、セカンドボールを狙う作戦。

策士として知られる反町監督が植え付けてきた戦術は、確実にヴィッセル神戸にダメージを与えていきます。

松本の真の狙いはセットプレー

松本山雅の攻撃での真の狙いは、カウンターからの得点ではなく、得意とするセットプレーにありました。ヴィッセル神戸は多くの選手が前線に顔を出す戦術を採用しているため、守備の局面では後ろから追いかける場面が多くなります。松本山雅からすれば、セットプレーに繋がるファールをもらう絶好のシチュエーションと言えます

『ゴール』 :松本山雅が狙い通りの形から得点を奪う

前半13分 宮阪のFKで松本山雅が先制(松本山雅vsヴィッセル神戸)

この狙いが見事にハマったのが前半13分。松本山雅は敵陣左サイドでセットプレーを得ると、宮阪がゴールに向かう軌道のボールを蹴り込みます。これが直接ゴールに吸い込まれ、松本山雅が先制。

セットプレーの場面を映像で振り返ると、ヴィッセル神戸のキーパー前川の正面に、長身の飯田が飛び込むことで視界が塞がれていました。前川からすれば難しい場面でしたが、やはりキーパーならばボールに触らなければならない場面

前川は前節でもハイボールの判断にやや不安を感じさせており、この日もクロスに対して目測をあやまる場面がいくつか見られました。今後の課題と言えそうです。

したたかな戦ぶりを見せる松本と焦りが見える神戸

松本山雅は先制点を決めると、守備ブロックの構築に重きを置きます。

守りの場面では素早く5バックを形成し、ヴィッセル神戸にスペースを与えません。サイドから打開を図りたい神戸ですが、左サイドは田中隼磨の老獪なプレーで蓋をされ、右サイドは高橋諒の積極的なオーバーラップに翻弄されます。対面した三田は攻撃の場面でも独りよがりなプレーが散見され、カウンターを浴びるシーンが目立ちました。

攻めあぐねるヴィッセルに追い打ちをかけるように、前半40分にはビジャが負傷交代。この日のビジャはライン上で駆け引きするスタイルはいつも通りでしたが、運動量が極端に少なくコンディションに不安を抱えているのは明白でした。この日も出場が危ぶまれた中での起用とあって気掛かりでしたが、負傷交代という最悪の結果となりました。

選手のコンディションについてはクラブがもっともよく分かっているとは言え、やや疑問の残る起用だったと言えるでしょう。

『ゴール』: 交代の隙を突いて追加点を奪う

ビジャに代わってウェリントンがピッチに入りますが、松本山雅の追加点はこの直後でした。

前半40分 高橋のクロスに飯田があわせて追加点
(松本山雅vsヴィッセル神戸)

センターライン付近でセットプレーを得た松本は、橋内が左サイドの高橋に長いボールを送ります。トラップした高橋はドリブルでサイドを駆け上がり左足でクロス。中に走り込んだ飯田が頭で合わせて追加点を奪いました。

セットプレーからの素早い展開で、ビジャの交代で混乱したヴィッセル守備陣の隙を突いた形です。

結局このまま前半は2-0のスコアで折り返します。

【後半】シンプルな攻撃スタイルで一気にヴィッセルペースに

2点のビハインドを追うヴィッセルは、後半開始から三田に代えて、節途中出場で2得点を奪った田中順也を起用します。前線の並びも右に古橋、左に田中、中央にウェリントンの形に。

攻撃もウェリントンの高さを生かしたシンプルな攻めを徹底します。田中と古橋がサイドに張り出すようにプレーし、やや強引な形でもウェリントンにクロスを供給。この攻撃で松本山雅のディフェンスラインが下がると、空いたスペースに中盤の選手たちが次々と飛び出していきました。

攻守両面で生きた古橋の右サイド起用

田中と古橋を利き足と同じサイドでプレーさせたのは、クロスを上げる場面を増やしたかったからでしょう。それに加え、古橋を右サイドに起用することで、前半に多くのチャンスを作られた、高橋の攻め上がりを抑え込む狙いもありました。

相手のサイドの攻撃への対応は、大きく3つあります。

1)対面する選手に守備能力の高い選手を起用する

2)サイドへの展開するパスコースを消す

3)攻撃的な選手を起用して相手に守備をさせる

リージョが選択したのは3)の方法。これは前節左サイドにポドルスキを起用して、ガンバ大阪のストロングポイントを消した方法と同じです。Jリーグではオシム監督がよく使っていた作戦ですが、欧州でも攻撃サッカーを志向する監督がしばしば講じる一手です。

『ゴール』: 古橋のクロスからウェリントンが得点

こうなると流れは一気にヴィッセルペース。田中順也の縦横無尽な動きや、左サイドで見せたバルサ流のパス回しなど、松本山雅の守備陣を翻弄します。


後半75分 古橋のクロスにウェリントンが頭で合わせる(松本山雅vsヴィッセル神戸)

いつ得点が生まれてもおかしくない展開が続いた75分、古橋のクロスにウェリントンが頭で合わせて得点。松本山雅にとってはやや疲れが見え始めていた時間帯での失点とあって、ダメージが大きいゴールでした。

このままヴィッセルが同点ゴールを奪うのか-。

J1の復帰後初となるホームでの勝利を目指す松本サポーターにとっては、残り時間が長く感じられたことでしょう。スタジアムは徐々に、独特の緊張感に包まれていきます。

レフェリーのジャッジに注目が集まる展開に

しかしゲームはここから、やや違った側面に注目が集まります。議論の的となったのは、レフェリーのジャッジ

後半、ヴィッセルが攻勢を仕掛け始めたあたりから、レフェリーのややナーバスなジャッジが見られていました。

ウェリントンのゴール取り消しや、ぺレイラのハンド疑惑、田中隼磨のラインを割っていたプレーなどなど。はっきりと注目が集まる場面で疑問の残る判定が見続いたことで、ヴィッセルの選手はフラストレーションを溜めていきます。イニエスタは審判への異議でイエローカードをもらうなど、プレーへの影響が出始めていました。

結局、ヴィッセルが動揺するあいだに落ち着きを取り戻した松本山雅が2-1で勝利を飾ります。松本山雅は嬉しいホームでの今季初勝利です。

レフェリーの判定は試合の流れを変えたのか?

さて、疑問が浮かぶのは、「レフェリーの判定は試合の流れを変えたのか?」ということ。

結果から見れば、この日のレフェリーの判定はヴィッセルの選手達にマイナスに作用したと言えるでしょう。ただ、こればかりはサイコロの目のようなもの。この日はヴィッセルが判定に左右されましたが、次節は松本山雅が同じ立場に立たされるかもしれません

今季のJリーグでは、レフェリーのジャッジに厳しい視線が注がれているように感じます。やはり大物選手たちの相次いだ加入により、サポーターの注目度も高まっているのでしょう。こうした状況がレフェリングに影響を与えていると可能性も否定できないでしょう。

もちろん、それがレフェリーの曖昧なジャッジに対するエクスキューズになってはなりません。

しっかりこの日のレフェリングを検証し、次のゲームを繋げていくことが重要です。Jリーグの発展のためには、選手やクラブだけでなく、レフェリーの技術向上も必要でしょう。

バルサ化の永遠の課題は、このスタイルを突き通す覚悟があるか

この日の敗戦で、ヴィッセル神戸は開幕戦以来の黒星となりました。

やはりバルサ型のスタイルを目指す上で大きな課題となるのが、守備の安定です。この日も圧倒的なポゼッション率とパス本数を計測しましたが、守備面ではまだまだ不安定さを感じさせました。

ビルドアップの場面ではセンターバックが開いてアンカーが下りてくる形が基本。両サイドバックを押し上げて、攻撃に人数を掛けることが目的ですが、守備の枚数や強度が低下してしまいます。だからこそ攻撃ではボールを失うことなく、フィニッシュまで持ち込むことが不可欠です。

この日のヴィッセルはビジャの負傷交代というアクシデントはありましたが、後半はウェリントンに放り込む現実的な戦い方を見せました。しかしこれはリージョの翻意ではなく、ヴィッセルが目指す「バルサ化」のスタイルではないでしょう。

バルサ化を目指すクラブの永遠の課題は、このスタイルをどこまで突き通せるのか。その覚悟を持てるかどうかが、今後のヴィッセルには問われていきそうです。