前節の清水戦がリーグの18戦目とあって、今年も前半戦を折り返したことになります。
そろそろ気になってくるのが、夏の補強情報。
ヴィッセルは常にさまざまな選手の名前がメディアにアップされますが、最新序列から見る補強ポイントはどこなのでしょうか?
ポジション別の考察を行ってみました!
フィンク就任後の最新序列は?
さて、まずはフィンク就任後の最新序列から整理していきましょう。

こちらは7月6日の清水戦までを参考に、筆者が考えた最新序列です。
フィンク就任後の大きな変更点としては、ダブルボランチの一角にイニエスタやサンペールなどプレーメーカータイプを起用するということ。
これまでは守備のリスクを嫌って一列前で起用されることが多かったイニエスタも、このポジションでプレーしています。
その分両サイドハーフが内側に絞って守備のタスクを担うことが多く、運動量の多く守備もできる選手がこのポジションで起用される傾向にあります。
また、ツートップではウェリントンが戦術的に重要な役割を任されるている他、左センターバックには宮が継続して起用されている点もポイントでしょう。
ポジション別の評価と補強優先度は?
ここからは、ポジション別の選手層やプレーの評価、そこから見える補強優先度を考察していきます。
補強優先度は5段階で評価してみました。数字が大きいほど、優先度も高いという意味になります。
(先ほどの序列を表にしてみましたので、こちらも参考にしてください!赤字は外国籍枠の選手です)

フォワード:CF、ST
・補強重要度:☆☆(星2)
・スタメンは盤石も控えに不安あり
フィンク就任後、ツートップはビジャとウェリントンが盤石のコンビを形成。
ビジャは得点を量産し、ウェリントンは高さとフィジカルの強さを活かして攻守両面で重要なタスクを担っています。
現状では補強優先度は高くないですが、控えの層には不安を抱えています。現状では田中順也が本職で、古橋がサイドからポジションを移してくるといった状態でしょうか。
ポドルスキの復帰後はやや厚みが出ますが、今度は外国籍枠の問題が関係してきます。とくにウェリントンのようなハイタワータイプは他に見当たらないため、怪我やコンディション不良に陥った際は心配です。
サイドハーフ:LSH、RSH
・補強重要度:☆(星1)
・選手層が厚く持ち味の違う駒が揃う
サイドハーフのポジションは、補強優先度がもっとも低いポジションと言えます。
郷家や三田のようにパスを出せるタイプや、小川や古橋のように運動量とスピードを活かすタイプまで持ち味の違ったタレントが揃っているのも強みです。
中坂と増山は出場機会に恵まれませんが、ジョーカーとして起用したくなる一芸を持っています。
3バックを採用すれば、ここに西や初瀬も絡んでくるなど、充実度の高いポジションといえるでしょう。
ボランチ(攻撃):CH
・補強重要度:☆(星1)
・イニエスタが君臨。
ツーボランチの一角は、プレーメーカータイプが起用されます。
今のところ、コンディションに不安さえなければ、イニエスタの一択。抜群の存在感で、チームの中心に君臨しています。
控えはサンペールが務めますが、外国籍枠の兼ね合いが出てくるのがネック。ただ加入当初から確実にコンディションを上げており、随所で「ブスケスの後継者」の片りんを感じさせてくれます。
3番手には安井。まだプレーにムラがあり、好不調がはっきりしていますが非凡な才能を感じさせます。試合展開によっては三田や郷家もこのポジションでプレーすることができ、補強優先度は高くないと言えるでしょう。
ボランチ(守備):DH
・補強優先度:☆☆☆☆(星4)
・山口への依存が顕著。三原移籍で補強優先度がアップ
守備的なタスクを担うボランチのポジションは、山口がほぼ1人で務めています。
山口のプレーぶりは素晴らしいものがありますが、運動量が極端に激しいポジションだけに、疲労の蓄積が心配です。
また、彼に代わる控えの人材も乏しく、唯一本職を務められる三原は7月11日に柏レイソルへのレンタル移籍が発表されました。
現状では那須や大崎が代役候補ですが、できれば本職のボランチを補強したいところ。補強優先度は高いポジションと言えるでしょう。
サイドバック:LSB、RSB
・補強優先度:☆☆☆(星3)
・対人守備に強いSBの獲得は要検討
サイドバックのポジションは、攻守の見方によって評価が違ってきます。
右は西、左は初瀬が務めますが、攻撃面では高い貢献度を発揮するものの、対人守備の面ではやや物足りない印象を覚えます。
とくに初瀬の裏のスペースを狙われることも多く、対人守備にサイドバックの獲得も検討が必要でしょう。
控えは橋本と藤谷が務めますが、やはり夏場のコンディション調整の難しさを含めてももう一枚欲しいところ。できれば左利きが欲しいですが、かなり人材は限られますね…。
センターバック:LCB、RCB
・補強優先度:☆☆☆☆(星4)
・ダンクレーの相棒探しは進めておきたい
センターバックも、比較的補強優先度は高いポジションでしょう。
右CBを務めるダンクレーはやや軽率なスライディングなども見られますが、リーグ全体を見まわしても高い能力を備えたタレントです。
となると気になるのは相棒を務めるLCB。開幕からは大崎が務めていましたが、逆足の右利きに加え、リージョの極端に高いSBのポジションから不安定さを露呈してしまいました。
現在は吉田体制で出場機会を得た宮がファーストチョイス。左利きでフィジカルの強さを武器としており、期待値は高い選手です。ただ、経験不足は否めず、このまま成長を待つのか即戦力を補強するのかはクラブフロントも悩みどころでしょう。
控えは大崎と渡部、小林が控えており、枚数は揃っています。しかし、前線の豊富なタレントに比べて「個」能力では見劣りすることから、補強を進めてもおかしくはないでしょう。
キーパー:GK
・補強優先度:☆☆☆☆(星4)
・キム・スンギュの能力に疑いはないが、外国籍枠がネック
キーパーは非常に意見が分かれるポジションです。
韓国代表のキム・スンギュは、スーパーセーブでピンチを防ぐなどキーパーとしての高い能力に疑いはありません。しかし足下の技術に拙さがあり、時おり見せるミスが失点に繋がるなど印象の度合いが悪くなっています。
さらに話をややこしくするのが、外国籍枠の問題。スンギュもサンペールの加入後は不遇をかこつなど、チームの大きな問題点となっています。控えは前川と吉丸が競う状況ですが、どちらも足下の技術以外ではスンギュに見劣りします。
個人的な意見を述べるなら、ハイレベルな日本人のキーパーの獲得を進めるべきです。一部報道では川島の名前が挙がっていますが、筆者としてはポジティブなアプローチだと考えます。今後も外国籍枠が絡んだ問題は続くことが予想され、重要なキーパーというポジションがコロコロ代わるようではチームは安定しません。
また、スンギュ本人のメンタルコントロールも困難を極めるでしょう。この辺りはフロントのマネジメントミスとして、今後の獲得方針に反映させてもらいたいところです。
守備陣の補強優先度が高い。狙うべきは日本人と提携国選手

さて、ポジションごとの補強優先度をまとめてみると、やはり失点の多さから守備陣の優先度が高くなる結果となりました。
タレントの顔触れを見ても、攻撃陣に偏り過ぎており、少しバランスを整える必要はありそうです。
また、補強を進めるなら、日本人や提携国枠が最優先となるでしょう。紙面を賑わせるビッグネームの加入は、現状ではNGと言えます。
外国籍枠の問題はチーム内にいらぬ不満を与えてしまうだけに、今夏は見送るべきです。
すでに一部報道では、日本代表の川島や、カタール代表(Jリーグ提携国で外国籍に含まれない)の選手の名前も挙がっています。クラブが今後どのようなマネジメントを見せるのか、注目したいと思います!