先日元ドイツ代表のマリオ・ゴメスが、ヴィッセルへの移籍で合意していると国内外のメディアで報じられました。
2019年末にも加入が噂されたストライカーですが、ビッグネームの去就とあってその動向に注目が集まっています。一方で、年齢によるパフォーマンスの低下や外国籍枠の問題から獲得を疑問視する声も少なくありません。
そこで今回は、マリオ・ゴメスがヴィッセルに加入する場合を想定して、そのメリットとデメリットについて解説します。
マリオ・ゴメスとは?ブンデスリーガ得点王に輝いたストライカー
マリオ・ゴメスは、元ドイツ代表としてブンデスリーガの得点王に輝いた実績を持つストライカーです。
189cmの長身と高い決定力を武器としたプレースタイルが特徴。ボックス内にポジションを構え、味方のクロスやパスをヘディングやワンタッチで確実に決めるクラシカルなセンターフォワードといえます。
シュツットガルトで成長すると、09-10シーズンに名門バイエルンに移籍。翌10-11シーズンには、32試合で28得点をあげてブンデスリーガの得点王を獲得しました。その後もフィオレンティーナ(イタリア)、ベシュクタシュ(トルコ)、ヴォルフスブルクと渡り歩き、17-18シーズンの途中からは古巣シュツットガルトに復帰。今季ブンデス2部を戦ったクラブでは、20試合に出場し6得点をあげています。
また、ドイツ代表としても通算78試合で31得点を決めるなど、黄金期にあった代表で貴重なハイタワー型のストライカーとして勝負強いプレーを披露しました。
クラブ | シーズン | 出場 | 得点 |
シュツットガルト | 03-04 | 1 | 0 |
04-05 | 8 | 0 | |
05-06 | 30 | 6 | |
06-07 | 25 | 14 | |
07-08 | 25 | 19 | |
08-09 | 32 | 24 | |
バイエルン・ミュンヘン | 09-10 | 29 | 10 |
10-11 | 32 | 28 | |
11-12 | 33 | 26 | |
12-13 | 21 | 11 |
フィオレンティーナ | 13-14 | 9 | 3 |
14-15 | 20 | 4 | |
ベシュクタシュ | 15-16 | 33 | 26 |
ヴォルフスブルク | 16-17 | 33 | 16 |
17-18 | 12 | 1 | |
シュツットガルト | 17-18(途中) | 16 | 8 |
18-19 | 31 | 7 | |
19-20 | 20 | 6 |
イタリアメディアがヴィッセル移籍で合意と報道
今シーズン限りでシュツットガルトとの契約が切れるゴメスは、昨年からその去就に注目が集まっていました。
国外移籍や引退といった報道もある中、2019年末にはヴィッセル神戸に移籍との報道もありましたが、その後は立ち消えに。ヴィッセルが引退したビジャに代わりドウグラスを獲得したこともあって、この話は流れたかに思われました。
ところが6月5日、日本国内のスポーツメディアが、マリオ・ゴメスのヴィッセル移籍が海外メディアで報じられていると報道。
元ドイツ代表FWゴメスが今夏神戸入りか「神戸とすでに合意」と報道 https://t.co/j11ZLs7lzq #gekisaka #jleague pic.twitter.com/12hr2XfSFX
— ゲキサカ (@gekisaka) June 5, 2020
ソースはイタリアのスポーツメディア「seriebnews.com」とされ、見出しには『移籍市場、さようならブンデス2部。 日本へ飛ぶ!』と掲載されていると報じられています。
実際にこのソース元であるseriebnews.comを調べてみると、確かにマリオ・ゴメスに関する報道が掲載されていました(ソース元のサイトはこちら )。

ただ、気になる点として、このイタリアメディアも『Stuttgarter Nachrichten』というシュツットガルトの地域メディアの情報だと記事の中で報じているということ。一般的にサッカーの移籍ネタは飛ばし記事が多く、とくに海外メディアのソースは信憑性を見定めるのが難しいとされています。
今回のゴメスの移籍記事も、昨年末と同じ飛ばしであるという可能性は考慮しておく必要がありそうです。
ヴィッセルがマリオ・ゴメスを獲得するメリット・デメリット
とはいえ、やはり大物ストライカーの移籍報道だけに、ファン・サポーターとしては想像が膨らむもの。
そこでここからは、マリオ・ゴメスが本当にヴィッセルに加入するという前提で、そのメリットとデメリットを考察していきたいと思います。
メリット:空中戦の強さと抜群の決定力
メリットは、大きく2つ挙げることができます。
1つは、空中戦の強さ。
マリオ・ゴメスは長身とフィジカルの強さを生かした空中戦を得意としています。これはシーズンオフにウェリントンが退団したヴィッセルには見当たらないタイプで、戦術的なバリエーションを広げるという意味でも大きなメリットといえます。
ドウグラスも空中戦やフィジカルの強さを発揮しますが、どちらかといえば万能型でサイドに流れてプレーするシーンも少なくありません。その点ゴメスは前線の中央に居座り、基準点としてプレーします。後ろに引かれてブロックを敷いた相手を崩せない場面では、パワープレーを採用することもできるため、フィンクの采配の幅を広げることができるでしょう。
もう1つは抜群の決定力。
欧州や代表での実績からも分かるように、マリオ・ゴメスの決定力は「本物」です。シュートのバリエーションも両足・頭と多彩な選択肢を持っていることから、ここぞの場面で得点をあげることが期待できます。昨季も引退したビジャの突出した決定力に救われた試合は多く、その代わりを務める選手として十分すぎるほどのプレイヤーといえるでしょう。
デメリット:外国籍枠の問題とチームスタイルとの相性
一方でゴメスを獲得する上でのデメリットも存在します。
1つは、外国籍枠の問題です。
現在ヴィッセルには5人の外国人選手が在籍しています。これはJリーグで1試合に起用できる上限値で、仮にゴメスが加入するとなれば毎試合1人はベンチ外となってしまいます。
昨シーズンも枠の影響から外国人選手が出場できないケースは多く、ときにはポドルスキであってもベンチから外れました。ゴメスの加入はこうしたピッチ外でのマネジメントを難しくする要因になりかねません。もちろんフィンクは昨シーズンもカップ戦を上手に利用してモチベーションをコントロールしていましたが、可能であれば余計なストレスの火種は避けておきたいものです。
もう1つは、チームスタイルとの相性。
昨季ウェリントンがシーズン途中から起用されなくなった理由は、外国籍枠の制限もありましたが、戦術的な相性も関係していました。
連携した動きの中でパスを繋ぎ、相手を崩すバルサ型を志向するヴィッセルの戦術は、そもそもハイタワー型の選手との相性が悪いといえます。空中戦よりも地上戦を優先するためです。オプションや状況を打開するという意味では持ち駒に欲しいですが、わざわざ元ドイツ代表のストライカーにその役割を担わせる必要があるのかは、しっかり検討しておかなければなりません。
まとめ
今回は、ヴィッセルへの加入報道が再燃したマリオ・ゴメスについて、獲得のメリット・デメリットを考察しました。
ゴメスのストライカーとしての能力は本物です。1人のサッカーファンとしてはJリーグで見てみたい選手ですが、やはりプレースタイルや外国籍枠を考えると、獲得はリスクがあるかと…。
個人的には現状のメンバーで底上げをしつつ、日本人選手の獲得に舵を切るのがベターなのではと考えています。
ただ、ゴメスに限らず噂にあがるダビド・シルバなど、夏の欧州市場はヴィッセルがもっとも注目するフィールドの1つ。(上記と矛盾しますが)やはりビッグネームがノエスタでプレーする姿は見たいだけに、贅沢な悩みはこれからも続きそうですね…(>_<)