先日の浦和レッズ戦。
ふとヴィッセル神戸のスタメンを見てみると、外国籍選手以外にも海外でのプレー経験が多いプレイヤーが数多く名を連ねていました。
ちょっと気になったので、今回はヴィッセルの国際化の流れを探ってみたいと思います。
スタメン8人が国際経験あり
8月17日の浦和レッズのスタメンは、外国籍選手4人と日本人選手7人の組み合わせでした。
外国籍メンバーの多さはすでにお馴染みですが、日本人メンバーの田中順也、酒井高徳、山口蛍、大崎玲央はいずれも海外でのプレー経験があります。
イニエスタ、サンペール、フェルマーレ、ダンクレーを加えると実に8人が国際経験があるメンバーということになります。
この日はベンチ外でしたが、若手の中坂と佐々木も短期間ながら海外へ武者修行に出ており、日本人にもなかなか国際色豊かな陣容が揃っていることに気付かされます。
Jリーグクラブでは異色
ざっと調べてみた限りでも、日本人でこれだけ多くの海外経験組が揃っているのはヴィッセルとレッズくらい。
ただ、レッズに関しては鈴木大輔以外はすべて過去に所属経験がある古巣復帰組なので、ヴィッセルはかなり異色と言えます。
もちろん、海外経験がそのままチームへのプラスアルファになるかは未知数ですが、異国の文化の中でプレーした経験値は大きな意味を持ってきます。
とくに総勢8人もの外国籍選手が所属するヴィッセルは、複数の言語や価値観が飛び交う「グローバル」な環境。
この辺りは公用語を英語にしている親会社さながらですが(笑)、バルサ化を掲げアジアへのステップアップを目指すクラブの長期目標を念頭に置くと、間違った方向ではないでしょう。
海外経験組が橋渡し役を担う
例えば、イニエスタやポドルスキの加入はチームへ好影響を与えくれます。
しかし、実際にプレーを見るだけでは、成長速度はスローなままです。これでは、キャリアの晩年を過ごす彼らのノウハウをクラブに落とし込むには時間的制約が生まれてしまいます。
その点海外経験組が日本人との橋渡し役となり、積極的にコミュニケーションを深めることで、チーム全体のボトムアップを図ることが可能です。
実際、大崎などは流ちょうな英語を元に選手間のコミュニケーションに大きく貢献しています。また、酒井高徳もドイツ人のフィンクと直接会話して意思の疎通を図るなど、プレー以外にも少なくない恩恵をもたらしてくれています。
バルサ化とはピッチの中だけのビジョンではない
バルサ化という言葉はヴィッセルの枕詞のように頻繁に使われていますが、これはピッチの中だけのものではありません。
フィソロフィーやマインドの部分も関係してきます。
そうした無形の存在をクラブに落とし込むには、言語の壁が大きく立ちはだかるでしょう。そこに海外経験組が多数在籍する意味が生まれてきます。
もちろん、バルサが長い歴史の中で築いてきたものを、数年足らずで真似できる訳ではありませんが、幸か不幸か、世界のフットボールはかつてないスピード感で動いています。
30年かかるものを10年に、10年かかるものを3年に縮めることは可能です。
その手段の1つがイニエスタやビジャの獲得であり、山口や酒井の加入にあります。
国際化は育成を軽視している訳ではない
また、国際化の流れが育成を軽視しているという声が聞かれますが、個人的にそうは思いません。
今シーズンも若手選手の起用に躊躇はしておらず、前川や宮、初瀬や安井らは一定の出場機会を得ています。
その中でハイレベルな競争原理を用いて、チームの勝利とのバランスを計算した上でフェルマーレンを獲得し、宮と小林をレンタルで育成する策を選びました。
若手を我慢強く育て、チームの柱としてプレーさせることは間違いではありません。
一方で、柱として育つまでの時間がかつてないほど少なくなっているのは確かです。これが先ほど「幸か不幸か」と述べた理由でもあります。
DAZNマネーが入ることで、Jリーグはタレントを獲得する資金力を付けてきました。
欧州クラブがそうであるように、今後は「外で育てて呼び戻す」スタイルが定番となるのではないでしょうか。
この辺りの変遷も、国際化の流れと呼べそうですね。
サンペール加入時には、Jリーグの移籍市場の変化についても触れていますので、こちらの記事も参考にしてください↓